建物を取り壊した時、自分で登記を行う方法

登記してある建物を取り壊した場合、取り壊しから1ヶ月以内に、建物の滅失登記を申請しなければなりません。実際は該当件数が多いため、過料に処されることはほとんどありませんが、この申請を怠った場合、10万円以下の過料に処すと定められています。

この建物の滅失登記は、登記手続きの中でも簡単な部類で、自分で行うことも十分可能な手続きです。必ずしも滅失登記の専門家である土地家屋調査士に依頼しなければならないものではありません。土地家屋調査士に依頼すれば4~5万円程度は覚悟する必要があります。難しい申請ではなく申請費用も無料ですのでぜひ自分でチャレンジしてみましょう。

(1)申請の流れについて

①建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して登記内容を確認する。
   ↓
②建物滅失登記申請書を作成する。
   ↓
③登記申請書を法務局に申請する。
   ↓
④無事登記が完了したら、登記完了証を受け取る。

①建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して登記内容を確認する

登記簿謄本は基本どこの法務局でも誰でも取得可能なものです。またオンラインでも取得可能です。

取得しなければならない理由は、登記申請書に登記簿記載の情報を記入する必要があるからです。また今回の申請は建物の所有者やその相続人が可能です。相続人が複数人存在していても、相続人であれば誰でも申請可能です。全員で申請する必要はありません。しかし土地と建物の所有者が異なる場合は、土地の所有者は申請できません。

②建物滅失登記申請書等を作成する。

必要な書類は下記となります。

■建物滅失登記申請書

法務局のホームページにテンプレートがあります。建物の表示の箇所は登記簿を丸写しでいきましょう。

■建物滅失証明書(取毀証明書)
■取壊した業者の印鑑証明書
■取壊した業者が会社の場合は、業者の登記簿謄本等

取壊した業者に頼めばもらえるはずです。取壊してから年月が経って存在しない場合は下の方に記載してあります。

■住宅地図、取壊し前後の建物写真

法務局の担当者が現地を視察に来るようなので住宅地図で場所を明確にしておきます。また取壊し前後の写真を提出するとより親切です。もし写真がない場合は国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」を利用することもできます。無料かつかなり古いデータも残っているので便利です。

③登記申請書を法務局に申請する。

登記簿謄本はどこの法務局でも取得できますが、登記申請書は建物の所在地域を管轄する法務局でしか申請できません。書類申請は窓口で審査を全くされることなく受理されます。不備があった場合は後日連絡がある旨と完了予定日時が伝えられます。目安はだいたい2週間前後のようです。

④無事登記が完了したら、登記完了証を受け取る。

特に法務局から連絡がない場合は、完了予定日に法務局に行き、登記完了証を受け取りましょう。それで滅失登記は完了です。

(2)取壊してから年月が経っている場合

ここからは取壊してから年月が経って書類等がない場合に必要な書類は下記となります。

■固定資産税不登載証明書

登記簿を持参すれば市区町村で発行してくれます。建物がないので当然固定資産税はかかっていないということを証明する書類になります。

■上申書


建物取毀証明書の代わりの書類。本当に取壊していることを証明し、紛失し迷惑をかけたことへの謝罪の書類になります。他の書類は認印でも構いませんが、この書類だけは実印となります。そのため印鑑証明書も必要となります。

流れは上記のようになっています。途中で不明点等が発生しましたら法務局に連絡すれば丁寧に教えてくれます。と言っても、調べないで電話で全部聞こうというのはやめましょう。