施設に入所している親が亡くなり、健康保険などの手続きを住民票がある役所に行ったところ、ここでは手続きができないから前住所の役所に行ってくれと言われた。これってどういうこと?住所地特例制度についてわかりやすく説明します

相続が発生するとまずは役所に行って健康保険などの手続きをする必要があります。通常は亡くなった方の最後の住所地の役所で手続きをする必要がありますが、一部の方は前住所地の役所で手続きを行う必要があります。わざわざ休暇ととって役所に手続きに行ったけど「ここではないです」と言われないように住所地特例制度についてわかりやすく説明します。

(1)初めに介護保険とは

住所地特例制度を説明するには、介護保険の仕組みを簡単に理解する必要があります。介護保険は、介護が必要な方に、その費用を給付してくれる公的な社会保険です。皆で保険料を負担して、必要な方に給付する仕組みとなっています。介護保険の運営主体は、全国の市町村と特別区で、保険料と税金で運営されています。

(2)住宅地特例制度について

厚生労働省のHPより引用

介護保険は、地域保険の考え方から、住民票のある市町村が保険者となるのが原則です。しかしその原則のみだと介護保険施設等の所在する市町村に給付費の負担が偏ってしまうことから、住宅地特例制度として、施設に入所する場合には住民票を移しても移す前の市町村が引き続き保険者となる仕組みです。

A市には適切な土地がないため介護保険施設等が建設できず、B市に適切な土地があるため介護保険施設等が多く建設されると、B市に非保険者が集中することになり、給付費が増加しB市の財政が厳しくなります。A市とB市の財政の不平等をなくすために作られた制度が住宅地特例制度になります。A市民がB市の住宅地特例対象施設に入所した場合、住民税はB市に納税するけど、介護保険料はA市から給付される形式となります。

なおすべての介護保険施設が住宅地特例対象施設となるわけではないので、もし相続が発生した場合は施設に対象施設かどうか確認すれば手続きを行う役所が判明します。

(3)まとめ

相続が発生して健康保険などの手続きを行う場合は、通常は亡くなった方の最後の住所地の役所ですが、住宅地特例制度の対象となっている施設に入所されている場合は、前住所地の役所で手続きを行う必要があります。貴重な時間を無駄にしないためにも、亡くなった方が施設に入所されている場合は、住宅地特例制度の対象か確認してから手続きを行いましょう。

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