相続が発生したら、何をどこでいつまでに手続きをすればいいの?財産調査についてわかりやすく説明します

相続手続きに関する記事一覧
  1_相続手続きの全体について
  2_まずは一番初めにしなければならないことについて
  3_7日以内に提出が必要な死亡診断書、死亡届、火葬許可証と埋葬許可証について
  4_14日以内に提出が必要な健康保険・介護保険の喪失手続きについて
  5_14日以内に提出が必要な世帯主の変更届について
  6_公共料金等の変更・解約について
  7_遺言書の有無の確認について
  8_相続人調査について
  9_相続放棄・限定承認について

前回の記事では、相続放棄・限定承認について説明しました。この記事では、財産調査についてわかりやすく説明します。

(1)はじめに

相続手続きを行うにあたって、どのような相続財産があるか調べることは非常に重要です。相続財産全体を把握しなければ誤った手続きを選んでしまう可能性もあります。ここで難しい点は、亡くなった方の相続財産全体を把握している場合が少ないことです。把握していない財産の手続をせずにそのまま放置されてしまう、後から財産が見つかり相続手続きをやり直す必要が発生した、把握していない借金が見つかり借金を相続する必要が発生などの事態が起こらないようにしっかりと調査を行う必要があります。

(2)相続財産の探しかた

本人の自宅を中心に相続財産の資料となりそうなものを探しましょう。金融機関の貸金庫を契約していれば、貸金庫内に大切な書類が残っている可能性が高いです。貸金庫内に遺言書などが保管されている可能性もあるため、まずは貸金庫の中身を確認しましょう。貸金庫を契約していたかの確認方法は、金融機関に直接確認するほか、通帳の履歴で「貸金庫利用料等」の名目での引き落とし有無で確認できます。なお確認のためには原則として相続人全員の同意が必要となります。

相続財産の資料となりうるものは、通帳、カード、権利証、納税通知書(不動産など)、株券、借用書などがあります。金融機関の通帳があれば、その通帳に記載された具体的な引き落としや入金、振込などの取引明細からヒントを得ることができます。それ以外にも郵便物からヒントを得ることもできます。金融機関、証券会社や生命保険会社から定期的に郵便物が届いている可能性が高いため、もし届いていたら直接口座や契約がないか確認しましょう。

(3)借金の探しかた

亡くなった方に借金があれば、相続人に相続されます。当たり前のことですが、借金を相続したら、相続人が自分で支払う必要があります。そのため正しい調べ方で借金を探す必要があります。借金の調べ方としては、通帳の取引明細以外にも、信用情報機関へ開示請求する方法があります。

信用情報機関とは、加盟する金融会社から登録されるローンやクレジットに関する信用情報を管理・提供する機関です。その人がどこの貸金業者や金融機関からどのくらいの借り入れをしているかを詳細に把握できます。信用情報機関には下記の3種類があります。

 ・JICC
 ・CIC
 ・全銀協

非常に便利なシステムなのです。しかし加盟する金融会社からの情報は保有していますが、加盟していない金融会社の情報は当然保有していません。また個人間のお金の貸し借りの情報も保有していないので、問い合わせて借金がなかったとしても、完全にないとは断言できないため注意が必要です。

(4)まとめ

相続放棄や限定承認を選ぶのであれば、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内と期限が設けられているため、早めに相続財産全体の把握をする必要があります。相続手続きのやり直しなどが発生しないように慎重に調査を行いましょう。

このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。