相続が発生したら、何をどこでいつまでに手続きをすればいいの?相続手続きの全体についてわかりやすく説明します

多くの方は、人生で身近な方の死というものを経験する機会は多くありません。むしろ機会が少ない方が幸せと言えます。そのため相続の手続きを把握している方はあまり多くはありません。しかし万が一相続が発生した場合に備えて何かしておくことがあるのではないか、また、急に相続が発生してしまい何から手をつけたらよいかわからないという方もいらっしゃると思います。それでは相続手続きの全体についてわかりやすく説明します。

(1)相続手続きの全体像について

上記図を見て頂ければわかりますが、相続が発生すると様々な手続きや届出を行わなければなりません。中には期限が決められているものもあり、「期限があることは知らなかった」といっても許されないものもあります。ほとんどの方が当事者になる手続きや届出もあるため、全体像を把握しておきましょう。

(2)シンプルな相続手続きの全体像

(1)の図だと項目が多すぎて、やはりよくわからない方もいらっしゃると思います。相続手続きの全体像を非常にシンプルにすると上記図になります。

①行政等へ届出

高齢の方であれば、年金を受け取っていると思います。また後期高齢者医療制度に加入していて年金から天引きされて徴収されているなど、国からお金を受け取りまた支払っています。そのため行政に亡くなったことを伝える必要があります。また放っておくと公共料金なども支払い続けてしまうため各所に連絡する必要があります。まずは亡くなった方の生活に直結することについて、対応する必要があります。

②相続人を確定

亡くなった方に遺産がある場合も、遺産がなくて借金がある場合も相続人を確定させる必要があります。「借金しかない場合は別に何もしなくてもいい」と考えがちですが、借金も遺産と考えられており、ある期限までに手続きを行わないと借金を相続することになってしまいます。相続人の中で一部の方が手続きをして、一部の方が手続きをしないと、手続きをしていなかった人だけが借金を相続する可能性もあります。この手続きは相続放棄といい、基本亡くなったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に伝える必要があります。

③財産を確定

「相続税は発生しないから財産を調べる必要はない」と思う方が多いと思います。しかし最近の相続でのトラブルは、相続税が発生しないパターンでも非常に増えています。相続トラブルを防ぐためにも、財産を調べて一覧にして相続人全員で確認することが重要です。

なお相続税の納付期限は基本亡くなったことを知った時から10ヶ月以内となっています。期限まで現金で、かつ、一括で納めることになっています。期限が過ぎてしまうと、本来払うべき相続税に加え、利息も払う義務が発生するため注意が必要です。

④財産を相続人に配分

相続人と財産を確定させたら、最後はそれぞれの財産を誰が相続するか決定します。この決定は、相続人全員で行う必要があり、1人でも反対する方がいる場合は決定できません。その場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになり、正直かなり面倒なことになります。無事、話し合いの上全員が納得した場合は、財産の名義を変更して相続手続きは完了します。

(3)まとめ

相続が発生すると様々な手続きや届出を行わなければなりません。中には期限が決められているものもあり、知らなかったことにより損失が発生する可能性もあります。準備の有無で効率的に進む場合も、全く進まなくなることもあります。この準備には、銀行口座の把握などもありますが、相続財産の分け方の方向性の目星をつけておくことも含まれます。

次回からはひとつひとつの手続き、届出についてわかりやすく説明していきます。

このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。