相続人に生活保護を受けている人がいる場合は、相続手続きはどう進めればいいの?相続したら生活保護はどうなるの?相続人の中に生活保護を受けている人がいる場合の相続手続きについてわかりやすく説明していきます

親が亡くなってしまって、相続人は自分と弟の2人とします。弟は遠方で一人暮らしをしており、生活保護を受給していたとします。このような場合、弟は親の財産を相続する権利はあるのでしょうか?また、相続した場合、一番の懸念点である生活保護は打ち切られてしまうのでしょうか?相続人の中に生活保護を受けている人がいる場合の相続手続きについてわかりやすく説明していきます。

(1)生活保護とは?

生活保護とは、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困る方に対し、困っている程度に応じて国が必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助けてくれる制度です。なお支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。生活保護には、日常生活に必要な費用である生活扶助、アパート等の家賃である住宅扶助などいくつかの種類があります。生活保護者にはケースワーカーがつき、生活実態を把握し具体的な支援の方針を立ててくれます。

(2)生活保護受給者は遺産を相続できるのか?

遺産を相続できる権利は、生活保護受給者であるからといって失われるものではありません。つまり、生活保護を受給していても、遺産は相続できます。しかし、生活保護受給者に、「就職して収入の見込みができた」「結婚等で世帯収入が増えた」「預金・貯金・車などの資産が認められた」などの変化が生じた場合は、生活保護は「廃止」または「停止」になります。

生活保護の受給資格自体がなくなるのが「廃止」、保護費の支給が一時的に中断される場合が「停止」になります。「廃止」は、再度生活に困窮して再申請する際に再度調査期間がありますが、「停止」は、再申請すればすぐに保護費の支給が再開されます。「停止」の期間は最長で5~6か月が目安となっています。

(3)財産を相続したら生活保護は打ち切られるのか?

生活保護を受給し続けられるかどうかは、相続財産の額によります。たとえば500万円といったまとまった財産を相続した場合は、「廃止」になる可能性が高いです。しかし少額の財産の場合はどうなるのでしょうか?20万円?100万円?実は、どのくらいの金額を相続すると生活保保護の「廃止」や「停止」になるという明確な基準は決まっていません。ただ、一般的には相続のような臨時的な収入があった場合、6か月以内に再び保護を必要とする状態になることが想定される場合は「停止」、6か月を超えて保護を必要としない状態が継続する想定の場合は「廃止」になるようです。例えば、1か月に支給される保護費が10万円で相続財産が50万円であれば、再び保護が必要な状態になるので「廃止」にはならない可能性が高いです。

(4)遺産分割の割合は?

遺産分割の方法は法定相続分という法律で定められた割合もありますが、基本相続人間で決めることができます。しかし、生活保護者の弟が受給を続けたいため、兄がすべて相続するというのはできません。生活保護費は税金のためです。地域等によって異なりますが、生活保護受給者が法定相続分を相続しない場合は、正当な理由がなければなりません。ただ、正当な理由の定義は決まっていないのが実情のため、都度ケースワーカーと相談する必要があります。もし相続財産を報告しない場合は、保護費の不正受給にあたりますので、必ずケースワーカーに報告するようにしましょう。

(5)まとめ

生活保護を受けていても、遺産相続できる権利は失われませんが、相続財産の額によっては「廃止」または「停止」になる可能性があります。遺産の分割方法に関してはケースワーカーに相談しつつ決めていく必要があります。相続財産は報告しないと、保護費の不正受給にあたりますので、必ず報告が必要になります。

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