相続人は誰になる?相続人になれる人の優先順位をわかりやすく説明します

経済・文化が成熟してきて、日本でも多様な生き方が尊重されるようになってきました。周りを見ても、ひとりで人生を楽しんでいる方、夫婦だけで楽しんでいる方が増えてきています。様々な家族のかたちが増えてきているので、相続が発生したとき、誰が相続人になるかという点も様々なパターンが存在しています。相続手続を円滑に進めるためには、「だれが相続人となるのか」を正しく理解しておくことが大切です。ここでは、相続が発生したとき、どのような関係の人がどのような順番で相続人になるのか詳しく説明していきます。

(1)配偶者は必ず相続人になれる

「だれが相続人となるのか」は民法で規定されています。亡くなった人(被相続人)の配偶者(夫又は妻)は、必ず相続人になります。ただし、正式な婚姻関係にある配偶者だけで、事実婚のパートナーや内縁関係の夫や妻といった人は相続人にはなれません。長年夫婦同様に暮らしていても、法律上の届出をすませていない場合は相続人として認められません。もし内縁関係の人に財産をのこしたい場合は、遺言を残す必要がありますので注意しましょう。また離婚をした場合には元夫、元妻は相続人にはなれません。

(2)配偶者以外の相続人には優先順位がある

相続人になれるのは、配偶者と血縁関係にある人です。亡くなった人の子どもや親、兄弟姉妹には、民法によって相続人になれる順位が定められおり、第1~第3順位まであります。ここでのポイントは、第1順位~第3順位のうち順位の高い相続人がいた場合、順位の低い人は相続人になれないことです。たとえば、亡くなった人の子が既に死亡しているが孫が生存している場合は、父母や兄弟姉妹は相続人にはなれません。

①【第1順位】子ども(直系卑属)

まず、第1順位は子ども(直系卑属)になります。直系卑属とは、血のつながった自分より縦のラインの下の世代のことで子ども・孫・ひ孫のことです。

グレーに白字の方は亡くなられた方になります。以降の画像も同様となります。

図1のような家族の場合には、相続人になるのは配偶者と2人の子どもの計3人になります。本人の父母がご健在だとしても子どもが優先となり、父母は相続人にはなれません。図2のような家族の場合には、子どもが亡くなっているため相続人になるのは配偶者と2人の孫の計3人になります。(これを代襲相続といいます。)子の配偶者は相続人にはなれません。

図3のような家族の場合には、相続人になるのは配偶者と子ども、そして前妻との子どもの計3人になります。前妻・前夫との間であっても、本人の子どもであれば相続人となります。離婚をすれば前妻・前夫は他人なので相続権はありませんが、本人の子どもは相続権をもちます。

②【第2順位】親(直系尊属)

子どもがいない場合は、第2順位の親(直系尊属)になります。直系尊属とは、血のつながった自分より縦のラインの上の世代のことで親・祖父母・曾祖父母のことを言います。

図4のような家族の場合には、相続人となるのは配偶者と父母の3人になります。なお父母も亡くなられている場合は、祖父母がご健在の場合は祖父母が相続人となります。

③【第3順位】兄弟姉妹

そして子どもも親もいない場合には、第3順位の兄弟姉妹になります。

図5のような家族の場合には、相続人となるのは配偶者と兄弟の2人になります。兄弟の配偶者は相続人にはなれません。

図6のような家族の場合には、相続人となるのは配偶者と兄弟の子の2人になります。(代襲相続)この場合も兄弟の配偶者は相続人にはなれません。なお兄弟の子どもが亡くなられていて子ども(甥姪の子ども)がいる場合には、相続人にはなれません。代襲相続は、兄弟の場合は甥姪までと定められています。

(3)配偶者がいない場合はどうなるの?

上記に記載したとおり相続人になれる順位は定められています。配偶者がいない場合は、第2順位~第3順位のうち順位の高い人が相続人になれます。

②【第2順位】親(直系尊属)

図7のような家族の場合には、相続人となるのは父母の2人になります。なお図4と同様に父母も亡くなられている場合は、祖父母がご健在の場合は祖父母が相続人となります。

③【第3順位】兄弟姉妹

図8のような家族の場合には、相続人となるのは兄弟の1人になります。この場合も兄弟の配偶者は相続人にはなれません。

(4)代襲相続とは?

上にも書きましたが、本来相続人となる人が先に亡くなられている場合は、本来相続人となる人の子どもが相続人になります。これを「代襲相続」といいます。

図9のような家族の場合には、相続人となるのは配偶者と子ども、2人の孫の計4人になります。子どもの配偶者は相続人にはなれません。

(5)養子縁組をした場合は?

養子は法律上、血のつながった子どもと同じになります。図10のような家族の場合には、相続人となるのは配偶者と子どもと養子の計3人になります。なお養子からすると、養親からも実の親からも相続することができます。ただし、特別養子縁組という制度を使っている場合には、元の親子関係がなくなるため相続人にはなれません。

(6)まとめ

民法によって相続人になれる順位が定められおり優先順位があります。相続手続は、相続人を確定させることから始まります。遺言がなく遺産分割をする場合は、基本相続人全員の合意が必要になります。「相続人全員の合意」がポイントとなります。仲が良い家族であっても争いになる可能性もあります。普段コミュニケーションをとっていない方との合意になるとさらにハードルがあがります。遺言を残すことによって必要のない争いを避けることができるので、家族の未来のためにも遺言書を作成しましょう。