相続手続きに関する記事一覧
1_相続手続きの全体について
2_まずは一番初めにしなければならないことについて
3_7日以内に提出が必要な死亡診断書、死亡届、火葬許可証と埋葬許可証について
4_14日以内に提出が必要な健康保険・介護保険の喪失手続きについて
5_14日以内に提出が必要な世帯主の変更届について
6_公共料金等の変更・解約について
前回の記事では、公共料金等の変更・解約について説明しました。この記事では、遺言書の有無の確認についてわかりやすく説明します。
(1)遺言の基本について
亡くなられた方が遺言を残していた場合は、原則として遺言の内容に従って相続手続きを行うことになります。遺言により、法律で決められた割合(法定相続分)とは違う割合で相続をさせたり、相続人以外の者に財産を残したり(遺贈)することができます。
(2)遺言書の有無の確認について
生前に遺言書の有無や保管場所を知らされていれば問題ありませんが、突然の出来事などで知らされていない場合もあります。一部の場合であれば遺言書の有無を確認する方法があります。
遺言の形式は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証言遺言の3つがあります。このうち公正証書遺言であれば遺言検索システムというものがあるので、遺言書の有無を確認することができます。公正証書遺言を作成する場合、遺言書の情報は作成した公証役場ではなく日本公証人連合会が管理しています。そのため作成した公証役場だけでなく、最寄りの公証役場にて請求することができます。なおこの遺言検索システムの利用は、遺言者が亡くなった後のみであって、遺言者が生存中は本人以外一切利用することはできません。
(3)自筆証書遺言、秘密証言遺言の有無の確認について
公正証書遺言以外の自筆証書遺言、秘密証言遺言でされたものについては、上記のような検索システムはありません。そのため自力で探すしかありません。自宅、病院、入所していた施設などの大事なものを保管していた場所を探すしかありません。亡くなった方が貸金庫を利用している場合は、貸金庫に入れている可能性もあります。貸金庫は契約者が亡くなった後だと、簡単には金庫の中身を見ることができないため注意が必要です。
なお、自筆証書遺言については、法務局が自筆証書遺言書を保管する制度が始まっています。これを利用している場合は、遺族が法務局に問い合わせした際に遺言書の有無が判明するようになっています。
公正証書遺言以外の遺言書の場合は、検認という手続きが必要になります。検認は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所によって行われますので、見つけたからといって自分で開封してはいけません。
(4)まとめ
公正証書遺言と法務局が保管している自筆証書遺言については、有無を確認することができます。しかしその他の自筆証書遺言、秘密証言遺言の有無は現状確認することができません。相続手続中に遺言書が見つかる可能性もありますので、できる限り生前に遺言書の有無と保管場所を確認しておきましょう。
このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。