相続手続きに関する記事一覧
1_相続手続きの全体について
2_まずは一番初めにしなければならないことについて
3_7日以内に提出が必要な死亡診断書、死亡届、火葬許可証と埋葬許可証について
4_14日以内に提出が必要な健康保険・介護保険の喪失手続きについて
5_14日以内に提出が必要な世帯主の変更届について
6_公共料金等の変更・解約について
7_遺言書の有無の確認について
8_相続人調査について
前回の記事では、相続人調査について説明しました。この記事では、相続放棄・限定承認についてわかりやすく説明します。
(1)相続の有無の検討
相続と聞くとプラスをイメージする方が多いと思いますが、マイナスの相続もあります。財産が少なく、借金の方が多い場合は、財産だけ相続して借金は相続しないという選択をすることができません。また疎遠だった方の相続人だと通知を受け、亡くなった方の財政状況がよくわからない場合もあります。相続するつもりがない、関与したくないという方は相続放棄の手続を行いましょう。なお相続放棄を行うと相続財産を受け取る権利を失いますので慎重に判断してください。
(2)相続放棄の効果
相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされますので、相続財産を一切相続しないことになります。上左図のように相続人である子が亡くなっていた場合、孫が相続人となります。しかし上右図のように相続人である子が相続放棄をしても孫は相続人とはなりません。
(3)相続放棄のやり方
相続放棄をする場合は、自己のために相続の開始があったことを「知った時から」3か月以内にその旨を家庭裁判所に申告しなければなりません。身近な方が亡くなった場合は、相続の開始=亡くなった時になる場合が多いですが、疎遠だった方が亡くなった場合は、連絡を受けて知ったときから3か月以内となります。相続放棄の申述は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。
(4)相続人について
上図の場合、相続人は第2順位の父母になりますが、父母がともに相続放棄した場合、次の順位の兄弟が相続人になります。次の順位の兄弟も相続放棄をすることは可能です。もし相続人全員が相続放棄をした場合、引き継がれなかった財産は最終的に国(国庫)に納められます。借金が財産よりも多い場合は、お金を貸していた人から相続財産管理人を選ぶための申し立てがされ、家庭裁判所が選任します。
(5)限定承認について
限定承認とは、相続人が、亡くなった方の財産から借金を清算して、財産が余ればそれを引き継ぐという方法です。相続人全員で自己のために相続の開始があったことを「知った時から」3か月以内に家庭裁判所に対して行わなければなりません。一人でも反対している人がいればできません。手続きは複雑なため、弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。
(6)まとめ
相続するつもりがない、関与したくないという方は相続放棄という手続きを行うことが可能です。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内と期限が設けられているので注意が必要です。
このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。