相続が発生したけど、加入していた保険や購入していた株・証券がわからない場合はどうすればよいか?わかりやすく説明していきます

相続が発生したけど、亡くなった人の加入していた保険や購入していた株・証券がわからない場合は結構あると思います。まずは保険会社や証券会社から定期的に送られてくる郵便物または預貯金通帳から保険料の口座振替履歴等で確認し、各会社に問い合わせるのが一番早いです。

しかし郵便物などが見つからない場合もあると思います。その際には保険の場合は「生命保険契約照会制度」、株・証券の場合は「登録済加入者情報の開示請求」という便利な制度があります。それぞれについて説明していきます。

(1)生命保険契約照会制度とは?

生命保険契約照会制度とは、保険契約者が死亡したり認知症になったりして契約内容が不明になってしまったとき、親族や関係者が保険契約の有無を問い合わせるための制度です。問い合わせ先の生命保険協会は、日本の生命保険会社のほとんどが加入している団体です。

生命保険による死亡保険金などは、「申請」をしなければ受け取れません。しかし契約者が家族に保険加入状況を伝えていないと、申請のしようがありません。そこで加入状況が分からない場合に、この制度を活用することができます。あくまでも加入の有無(保険会社名)が分かる制度ですので、保険の種類や保険金等の請求の代行等は行っていません。この制度で加入している保険会社が分かったら、その後の手続きは自身で行う必要がありますが、受け取る権利がある保険金を受け取れないリスクは減ります。照会には1件あたり3,000円かかり、郵送またはオンラインで照会することができます。

(2)登録済加入者情報の開示請求とは?

登録済加入者情報の開示請求とは、取引をしていた人が忘れてしまった場合や亡くなられた際に証券会社が分からないときに、本人または相続する人などが、株式等に係る口座の開設先を確認するための制度です。確認先の証券保管振替機構は、株券などの保管や受け渡しを簡素化することを目的として設立された機構で、証券会社等により預けられた株券等を保管する業務を行う日本で唯一の機構となっています。

生命保険と同じように、「申請」をあげて「口座解約」の手続きを経ないと、財産は受け取れません。「生命保険契約照会制度」同様に、口座が開設されている金融機関のみを知ることができるので、その後の手続きは自身で行う必要があります。相続人が請求する場合は、1件あたり6,050円(税込)かかりますが、法定相続情報一覧図を提出する場合は1,100円(税込)割引となります。

(3)まとめ

亡くなられた方が築き上げてきた財産を受け取れないリスクを最小限に抑えるためには、財産の調査を綿密に行う必要があります。今回説明した「生命保険契約照会制度」、「登録済加入者情報の開示請求」は、有料で時間もかかりますが、リスクを限りなく低くなるメリットがあります。

「本人が特になにも言っていなかったし、たぶん株はやっていないだろう」と思っていたら、後から株の存在が判明して、遺産分割協議のやり直しなどの事態になることもあり得ます。相続が発生したときは、今回説明した制度を利用して、財産調査を綿密に行ってください。