幼稚園・保育園のバザーで手作り製品を販売するけど、キャラクターものの生地を使ってもいいの?手作り製品の著作権についてわかりやすく説明していきます

コロナウイルスが5類感染症となり、近所の幼稚園や保育園でも久々に行事をする予定のところが多いです。行事の一つである幼稚園や保育園で開かれるバザーで、心配事を抱えている方もいらっしゃると思います。「手作りのバッグを売りましょう。ポケモンの生地を使えば、売上げは伸びると思うから、人気キャラクターの生地で作りましょう」。バザーの打ち合わせでこんな話になったけど、著作権って大丈夫?手作り製品の著作権についてわかりやすく説明していきます。

(1)著作権とは

著作権とは、キャラクターを生み出した人などに対して法律によって与えられる権利のことです。著作権によって、キャラクターを生み出した人の努力や苦労に報いることが可能となっています。例えば著作権がなかった場合を想定してみましょう。あなたが売れない漫画家だとします。ようやく漫画をのせているSNSにフォロー者が増えてきて、手ごたえを掴んでいます。しかし大手企業が漫画の主人公に目をつけ、勝手に商品化してその商品がヒットしたとします。もし著作権がないと、あなたは1円も手に入れることなく、大手企業のみが儲かってしまします。このような事態を防ぐために著作権はあります。

著作権侵害の摘発例だと、2018年に、漫画を中心に違法コピーしたコンテンツを掲載し、無料で閲覧可能にした海賊版サイトが代表例になります。なお元運営者には、懲役3年、罰金1,000万円、追徴金約6,200万円の判決が下っています。

(2)では幼稚園の通園バッグにキャラクターものの生地を使用してはだめ?

法律では、キャラクターなどを、個人的に又は家庭内などの限られた範囲内で使用する目的であれば問題ないとなっています。そのため、通園バックなどにキャラクターものの生地を使用しても問題はありません。例えば、裁縫が苦手な人に代わって、キャラクターもの生地の通園バッグを作ってプレゼントしても、限られた範囲内ですので問題ありません。線引きは難しいですが、幼稚園の園児全員にキャラクターもの生地の通園バッグを作ってプレゼントすると、限られた範囲内を超えてくる可能性があります。

(3)バザーでキャラクターものの生地で作ったバッグは売れるのか?

幼稚園等のバザーで売るとなると、限られた範囲内で使用するには該当しません。そのため、キャラクターを無断に複製する、つまりポケモンのお面を自作して売ると、原則として著作権侵害になります。しかし、キャラクター自体はすでに生地にプリントされた状態で売られており、この生地でバッグを作成しても、キャラクターを複製したとは言えません。しかし、生地に次のような文言がある場合は注意が必要です。

※このプリントは契約により製品化して販売することは禁じられております。

製作者全員の生地を確認することを考えると、キャラクターものの生地で作ったバッグは、バザーで売らない方がよいでしょう。しかし、「子どもたちが楽しんでくれるから」、「園児しか買わないし、売上金額も少ないから」という声もあります。確かに、幼稚園等のバザーでの著作権侵害での摘発は聞いたことはありませんが、教育機関なので「赤信号みんなで渡れば怖くない」という考えを持たず、子どもたちに正しい姿を示す必要があります。

(4)ではバザーで売っていいキャラクターものはあるの?

「メルカリで前に買ったキャラクターのぬいぐるみを売ってもいいの?」。キャラクターを無断で複製することが、著作権侵害になります。しかし、キャラクターのぬいぐるみは、複製は行っておらず購入した状態のままで売っているので著作権侵害にはあたりません。もしこれを規制すると、メルカリなどでの中古品の販売ができず、ものの流通が制限されすぎてしまうからです。

そのため、幼稚園等のバザーでも、購入したキャラクターのぬいぐるみは売っても問題ありませんが、手作りのキャラクターのぬいぐるみを売ると著作権侵害になります。購入したキャラクターのぬいぐるみだけでなく、ポケモンカードやマグカップなども購入したままの状態であれば売っても問題ありません。

(5)まとめ

幼稚園等のバザーでは、購入したキャラクターのぬいぐるみは売っても問題ありませんが、手作りのキャラクターのぬいぐるみを売ると著作権侵害になります。キャラクターものの生地を使って作ったものを売る際は、生地によって著作権侵害か否かが異なり確認が難しいため、売らない方が安全といえます。

このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい、相談をしてみたい方はこちらから当事務所までご連絡ください。