総務省が20日発表した8月の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除いた総合指数が102.5で、前年同月より2.8%上がりました。上昇率は91年9月以来、30年11ヶ月ぶりの高さになったそうです。電気代が21.5%、都市ガス代が26.4%上がるなどエネルギー関連が16・9%上昇しました。このほか、からあげが9.4%、外食のハンバーガーが11.2%上がるなど生鮮食品をのぞく食料は4.1%上昇しました。昨今のさまざまな商品の値上げが数字になって表れたかたちになります。この基準となっている消費者物価指数とはどのようなものなのでしょうか?わかりやすく説明していきます。
(1)消費者物価指数の基本的な考え方
消費者物価指数は、私たちの暮らしに必要な商品を買い物かごに入れて、その買い物かご全体の費用が物価の変化によってどの程度変わったかを表しています。かごに入れるものといっても、商品だけでなく受けているサービス(携帯代)などもかごに入れているイメージです。つまり私たちの家庭が日常生活で購入する食料品、衣料品、電気製品などの商品や、授業料、家賃、髪のカットなどのサービス料金の価格の動きを全体としてまとめて示しています。
あくまでも例えのかごですが、2020年にこのかごの中身を買うのに全部で30万円かかったとします。次に、2022年にかごの中身はそのままで買ったら31万円でした。商品やサービスの値段が変化しているため、同じ金額ではなく違う金額になります。そうなると物価が上がったと判断され消費者物価指数は100を超えてきます。
(2)消費者物価指数はどのように調べているの?
消費者物価指数を算出するには3つのものが必要となります。まずは基準となる時点です。現行の消費者物価指数は、2020年と基準(100)とした「2020年基準指数」となっています。次に必要なのは「かごの中身」と「商品・サービスの値段」になります。
①「かごの中身」はどうやって決めているの?
「かごの中身」がどのような商品・サービスで構成されるかは非常に重要な問題となります。消費者が購入するすべての商品・サービスを網羅できればいいですが、現実的な話ではありません。そのため、家計の上で重要な品物を代表として選び、「かごの中身」としています。これを「指数品目」と呼びます。「指数品目」には、国が実施している「家計調査」で消費者が実際に記入した家計簿の集計結果を基にして、支出額の多い品目を選んでいます。ちなみに「指定品目」は全部で582品目です。これが多いか少ないかは難しい問題ですが、「家計調査」の集計結果で見ると、家計の支出額の多い品目順に並べると上記300品目で全体の支出額の90%を占めているそうなので、品目が少ないということはないようです。
②「商品・サービスの値段」はどうやって決めているの?
「商品・サービスの値段」も非常に重要な問題となります。この価格は国が実施している別の調査である「小売物価統計調査」を使っています。「小売物価統計調査」は、全国の市町村から販売量の多い代表的な小売店、家賃を調べるために事業所などを調査対象としています。調査対象から、「指定品目」として選んだそれぞれの品目について毎月価格情報を集めています。なお毎月同等の商品の価格を調査できるように、調査する商品の機能、企画、容量などの特性を決まています。例えばチョコレートであれば、「板チョコレート、50~55g、「明治ミルクチョコレート」、「ロッテガーナチョコレート」又は「森永ミルクチョコレート」」と決まっています。
(3)まとめ
消費者物価指数は、「かごの中身(変わらない)」×「商品・サービスの値段(変わる)」で金額を算出し、2020年を基準(100)として比較する数値です。つまり100を超えると2020年より物価が上がっており、100を下回ると2020年より物価が下がっているということです。実際に調査対象者を選んで調査を行ってしまうと「かごの中身」が変わってしまうので、「かごの中身」は変えず「商品・サービスの値段」を現在の値段に変えて算出しています。
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