基準地価って?基準地価で土地って買えるの?わかりやすく説明していきます

神奈川県は先日、県内927地点の基準地価を公表しました。住宅地は3年ぶりに上昇、商業地、工業地は10年ぶりに上昇となりました。東京都心からアクセスの良い横浜市、川崎市、相模原市の3政令市の地価が上昇しています。一方で下落が深刻だった三浦市、横須賀市は下落率は縮小、マイナスが続く県西部も同様に下落率は縮小していますが依然として厳しい状況が続いています。

横浜市の住宅地を見てみるとすべての区で地価が上昇しています。神奈川区、西区、港北区では、生活、交通利便性が高いことから高い上昇率となっています。昨年下落していた磯子区、金沢区でも上昇、旭区は昨年より上昇していますが市内で見ると最も上昇率が低くなっています。

この神奈川県が公表した基準地価で土地を購入することができるのでしょうか?基準地価についてわかりやすく説明していきます。

(1)一般的な土地の価格について

土地の価格には、実際に取引する際の取引価格とは別に、公示価格、基準値標準価格(基準地価)、相続税評価額(路線価)、固定資産税評価額の4つの価格があります。つまり実際に取引する際の取引価格と基準地価は異なります。しかしなんでこんなにいろいろな金額があるのでしょうか?

①基準値標準価格とは?

基準地価は、正式には基準値標準価格といいます。基準値標準価格は、都道府県が毎年9月下旬に公表するその年の7月1日時点における全国の基準地の土地価格を公表する指標で、一般の土地取引だけでなく、地方公共団体や民間企業の土地取引の目安として活用されます。都道府県が不動産鑑定士の評価をもとに土地価格をまとめています。「住宅地」「商業地」「工業地」などの区分があり、神奈川県では927地点の価格を公表しています。

②公示価格とは?

公示価格とは、国土交通省が毎年3月下旬に公表するその年の1月1日時点における全国の標準値の土地価格を公表するもので、一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安として活用されるとともに、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準・指標としても活用されます。基準値標準価格と非常に似ており、調査時点が異なるものの実質的に同じようなものなので、一括して公示価格と呼ばれます。1年に1回のみの土地価格を公表だけだと間隔が開きすぎているため、それを補うかたちとなっています。

③相続税評価額とは?

路線価は、正式には相続税評価額といいます。相続税評価額は、国税庁が毎年7月下旬に公表するその年の1月1日時点における主要な道路に面した1㎡あたりの土地価格を公表するもので、相続税や贈与税を計算するときに活用されます。相続税評価額と公示価格との大きな違いは調査地点の数にあります。公示価格の調査地点は約2万6000ですが、相続税評価額は約33万となっています。相続税評価額は、国が国民に税金を納めてもらうのに使用する価格のため、正確な価格を算出する必要があり相続税評価額の調査地点数は圧倒的に多くなっています。不動産は同じものが2つ存在することはありません。そのため実際は公示価格で売れないから税金が高すぎるという状況を避けるため、相続税評価額は公示価格の80%ぐらいになるように計算されています。そのため現金で相続するより、不動産で相続する方が節税になると言われています。

④固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、市町村が毎年3月1日に公表する前年の1月1日時点における土地・建物の価格を公表するもので、固定資産税、都市計画税、不動産取得税等課税を計算するときに活用されます。土地・建物を所有されている方は固定資産税を払っていると思います。そのため基本的にすべての土地・建物に評価額があります。実際に決める際は、各自治体の固定資産税評価員が土地と建物を一軒ずつ訪れて調査しています。相続税評価額と同様に、税金が高すぎる状況を避けるため、固定資産税評価額は公示価格の70%ぐらいになるように計算されています。

(2)実際の金額はどうなの?

当事務所がある旭区東希望が丘で実際の金額をもとに比較してみたいと思います。基準値標準価格ですと個人宅が多いため、「横浜市旭区東希望が丘146番8外」で公示価格と相続税評価額を比較してみます。

今年の公示価格は22万5000円で、前年の23万4000円から9000円下落しています。

国税庁のHPから引用した路線価図

「横浜市旭区東希望が丘146番8外」は、上記路線価図だと真ん中一番上の「公5-6」になります。この土地の令和3年1月の相続税評価額は18万円となっており、公示価格の76%となっております。なお18万円の表記は他のページに記載がありましたが、公示価格の調査地点の表記があったためこの図を使用しています。

(3)不動産の価格に影響するものは他にもある?

パターン1のような土地があるとします。土地Aは道に接している長さが短く、土地Bは面積が大きくないため市場価値はそこまで高くありません。しかし土地Aの所有者が土地Bを取得すると、デメリットがなくなり現在の合計の評価額を上回ることが想定されます。そのため、第三者が土地Bを買うよりも、土地Aの所有者が土地Bを購入する金額は高くなります。同じような感じでパターン2のように土地と建物の所有者が異なる場合があります。その際はパターン1同様に、建物所有者が土地を購入するときは、第三者が買うよりも高くなります。両方とも購入者にメリットが大きい場合は、金額が通常の価格よりも高くなるということです。

それとは別に、例えば会社の経営がピンチになり、経営を立て直す必要があり不動産を売却するときは、早めに売りたいと時期が限定されますので、通常の金額よりも安くなる傾向があります。また相続税納付の期限が迫っている時に不動産を売却するときも同様の理由で安くなる傾向があります。

(4)まとめ

基準値標準価格は、都道府県が毎年9月下旬に公表するその年の7月1日時点における全国の基準地の土地価格を公表する指標で、一般の土地取引だけでなく、地方公共団体や民間企業の土地取引の目安として活用されます。一般の土地取引の目安であって、実際の取引価格とは異なります。不動産は同じものが2つ存在しないため、土地価格は他の条件、需要と共有のバランスによっても影響を受けるため金額を決めるのが難しいです。