登記されていないことの証明書ってどんなもの?わかりやすく説明します。

普段生活をしていて「登記されていないことの証明書」というのはあまり聞かないものです。「登記」と聞くと申請が面倒、費用が発生すると身構えてしまいますが、この証明書は少し種類が異なります。建設業許可等の許認可や宅地建物取引士などの資格の登録の際に提出を求められることが多い書類になります。それでは「登記されていないことの証明書」についてわかりやすく説明していきます。

(1)「登記されていないことの証明書」とは?

法務局のHPから引用

「登記」と聞くと不動産登記を思い浮かべる人が多いと思います。そのため申請や費用といったものを連想しやすい言葉となっています。「登記されていないことの証明書」の「登記」とは、不動産登記や商業登記(法人化したときに申請するもの)ではなく、成年後見の登記(後見登記)のことです。つまり後見登記されていませんということを証明するものになります。さらに「?」になったと思いますので、最初に成年後見制度から説明してきます。

(2)成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害により判断能力が十分ではなくなった人に「成年後見人」等と呼ばれるサポートする人をつけて、本人の財産管理や身のまわりの手続きを行ってもらう制度です。判断能力が十分でない人が、他の人から財産を守るための制度になります。成年後見制度は、「任意後見制度」「法定後見制度」の2つがあります。

「任意後見制度」は、本人自身が将来判断能力の衰えた場合に備え、あらかじめ契約によってサポートしてくれる人を選んでおくという制度です。

法定後見制度の3つの分類

一方で「法定後見制度」は、家庭裁判所がサポートする人を選びます。判断能力の低下度合いによって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、それぞれ「成年後見人」「保佐人」「補助人」がサポートします。サポートする人の同意が必要な場面/取り消しが可能な行為はそれぞれ異なります。「後見」の人は判断能力を欠く常況のため、「日常生活に関する行為」以外の法律行為は、すべて取り消しが可能な行為になります。例えば、生活に必要な食料を買うことに関しては取り消しはできませんが、サービスの契約などは後から取り消すことができます。取り消すことができることによってその人の財産を守っています。しかし契約(取引)の相手方は、取り消される契約はしたくありません。そのため家庭裁判所が「後見(任意、法定ともに)」だと認めた場合は、後見登記によって公になることになっています。

(3)2種類の証明書について

成年後見等の登記がされていれば、どういった内容で登記されているか「登記事項証明書」を発行してもらえます。契約(取引)の相手方は、「登記事項証明書」を確認すればサポートを必要としている人なのか判断することができます。一方で「登記されていないことの証明書」は、サポートが必要ではない人という証明になります。

(4)まとめ

「登記されていないことの証明書」は、建設業許可等の許認可や宅建士への登録の際に判断能力があることを証明する書類です。簡単に言うと公に仕事の許可をもらうときに、判断能力があるということを証明する書類です。取得する場所は、住所・本籍地に関わらず、東京法務局(千代田区)または全国の法務局・地方法務局の窓口で取得できます。神奈川県であれば横浜地方法務局(横浜市中区)で取得できます。なお郵送でも請求できますが、全国どこからでも、東京法務局の1ヶ所のみとなります。

なお、このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方はこちらから当事務所までご連絡ください。