新規で建設業許可を取りたいんだけどどうすればいいの?建設業許可とはいったいどのようなものかわかりやすく説明していきます

建設業許可に関する記事一覧
  1_建設業許可とはいったいどのようなものか
  2-1_建設業許可の条件がいったいどのようなものか
  2-2_「経営業務の管理責任者がいること」について
  2_3「専任の技術者がいること」について
  3_申請に係る書類と時間、費用について
  4_準備する資料等について
  5_申請書作成で不明点が発生した場合や申請書提出の流れについて
  7_無事許可がおりた後に必要な手続きについて

最近元請会社のコンプライアンスが厳しくなってきて、建設業許可がないと仕事の受注が難しくなってきたという方は多いと思います。建設業許可は一定の条件をクリアして証明することができれば誰でも取得することができます。今回はまず初めに建設業許可とはいったいどのようなものかわかりやすく説明していきます。

(1)そもそも建設業って何?

そもそも建設業の定義は何でしょうか?実は建設業法という法律で定義されています。建設業とは、「元請・下請けその他のいかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」のことを言います。

・元請・下請けは問わない
・請け負うとは、仕事を完成させ、その仕事の結果に対して報酬を払うことを約束すること
・営業とは、無報酬ではなく利益を得ることを目的として、同じ業務を継続的に行うこと
・法人だけでなく、個人事業主でも取得は可能

建設工事にも定義があります。例えば、運動広場を新たに作る工事は建設業ですが、完成後の運動広場の草刈りや木々の伐採は建設業に該当しません。ガラスを加工して製品を作って取付工事を行うのは建設業ですが、ガラスを加工して製品を作って納品するだけで取り付け工事を行わないのは建設業ではありません。また建物の設計だけを行うのは建設業に該当しませんが、設計して工事を行うには建設業許可が必要になります。工事を行うか否かが一つの目安になります。

(2)建設業許可って種類があるの?

実は建設業の許可業種は29種類あります。建設工事の種類のうち、土木一式工事と建築一式工事は、他の27の専門工事とは異なり、大規模又は施工が複雑な専門工事を原則として元請業者の立場で管理・監督する会社向けの業種です。建築一式工事の許可と他の専門工事の許可も併せて取得することができ、自社内で工事を完結することも可能です。複数の許可を取得して仕事の幅を広げ、事業を拡大していくことができます。

(3)許可がなくても工事はできるの?

建設業許可がなくてもある一定の規模までの工事を行うことはできます。イメージとしては規模の小さな工事で経験を積んでいって、大きな工事を行うために建設業許可をとる感じになります。一定の規模とは、建設一式工事であれば1件が1,500万円未満の工事または金額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事になります。建築一式以外の建設工事に関しては1件500万円未満の工事が該当します。違反した場合は、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」と罰則が定められています。

①金額に消費税は含まれます

ここで注意しなければならないことは、金額には消費税は含まれます。請負金額が税抜き490万円で税込539万円の場合は、500万円を超えてしまうため違反になります。

②1つの工事で契約を複数に分割した場合も1つの工事になります

また800万円のクロス貼り工事を1階部分450万円、2階部分を350万円と分割して工事を行ったとしても、法律上は800万円の工事となり、500万円を超えてしまうため違反になります。

③金額には材料費も含まれます

材料費400万円でその他で200万円かかった工事の場合も工事自体は600万円と判断されて500万円を超えてしまうため違反となります。また材料費を元請会社から400万円分提供されて200万円で工事を行った場合も工事自体は600万円と判断されて500万円を超えてしまうため違反となります。当初は500万円以内の工事だったけど計画が途中で変更となり、500万円を超えてしまった場合も違反となります。

(4)許可は全部での4種類

①知事許可と国土交通大臣許可

営業所の所在地によって知事許可と国土交通大臣許可に分かれます。1つの都道府県内のみに営業所がある場合は知事許可、2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業する場合は国土交通大臣許可になります。また本社が許可を取得しても、他の営業所は取得したことにはなりません。各営業所ごとに許可を取得する必要があります。

上図の会社ですと、新たに福岡営業所が許可を申請する場合は、営業所が複数の都道府県にまたがっているため国土交通大臣許可になります。そのため同じ会社が同じ業種で知事許可と国土交通大臣の両方の許可を受けることはありません。また本社は「建築一式工事」の許可は得ていますが、各営業所は許可がないため、各営業所が規模の大きな「建築一式工事」を行った場合は違反となります。

②一般建設業と特定建設業

特定建設業は、工事の元請者が1件の工事について4,000万円以上(建設一式工事は6,000万円以上)となる工事を行う場合に取得しなければならないものです。それ以下の工事である場合は一般建設業となります。特定建設業の方が規模の大きな工事を行うため、一般建設業に比べ条件が厳しくなっています。あくまで元請として受注する金額であり、一般建設業の会社が下請として4,000万円の工事を行っても問題はありません。なお同じ会社が、A業種は特定建設業でB業種は一般建設業の許可を受けることは可能ですが、同じ業種で特定建設業と一般建設業の許可を受けることはできません。

(5)まとめ

建設業許可といっても様々な区分があります。新規で取得を目指す方は、一般建設業の知事許可が多いと思いますが、自分たちの会社がどの区分に該当するか確認しましょう。次回は取得の条件について説明していきます。

このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。