建設業許可に関する記事一覧
1_建設業許可とはいったいどのようなものか
2-1_建設業許可の条件がいったいどのようなものか
2-2_「経営業務の管理責任者がいること」について
2_3「専任の技術者がいること」について
3_申請に係る書類と時間、費用について
4_準備する資料等について
5_申請書作成で不明点が発生した場合や申請書提出の流れについて
7_無事許可がおりた後に必要な手続きについて
前々回の記事で建設業許可を取得するための条件について説明しました。建設業許可は条件をクリアしてそれを証明できれば基本的に取得できるものです。逆に言えば条件をクリアしていないとクリアするまで許可を取得することはできません。今回は建設業許可の取得のための条件である「専任の技術者がいること」についてわかりやすく説明していきます。
(1)「専任の技術者がいること」は3パターン
建設業許可を知事の許可でとる場合は、都道府県ごとに全然違うということはないのですが少しずつ条件が異なります。ここからは当事務所がある神奈川県を基準に説明していきます。また一般建設業と特定建設業でも条件が異なります。この記事は新規で建設業許可の取得を目指している方向けのため、一般建設業に絞って説明します。
前回の記事の「経営業務の管理責任者がいること」では、経験は申請する業種(大工工事等)に限らず、29種類のいずれかの業種の経験で問題ないと書きましたが、「専任の技術者がいること」の経験は申請する業種に限られますので注意が必要です。
「専任の技術者がいること」については3パターンのいずれかをクリアしていれば問題ありません。それでは3パターンをそれぞれ見ていきましょう。なお「経営業務の管理責任者がいること」と同様に「常勤性」は必要となります。
①学歴+実務経験
申請する業種に関して、高校の指定学科を卒業後5年以上または大学の指定学科を卒業後3年以上、実務の経験があることが条件となります。指定の学科とは業種によって異なります。大工工事業であれば、「建築学」または「都市工学」に関する学科になります。鉄筋工事業であれば、「土木工学」、「建築学」または「機械工学」に関する学科になります。実務の経験に関しては、年に1件以上の工事の詳細書類を提出する必要がある場合もあります。
②実務経験のみ
学歴は関係なく実務経験のみで条件をクリアすることもできます。申請する業種に関して10年以上の実務の経験があることが条件となります。学歴が関係なくなった分、実務の経験期間が延びています。1人の技術者で1業種のみ申請する場合は10年以上の実務の経験ですが、2つの業種を同時に申請する場合は少し複雑になります。1名での複数業種の工事経験の期間の重複は認められていないためです。
【例1】2業種とも10年以上の経験があり、期間の重複がない
この場合は2業種とも問題なく条件をクリアできますが、20年以上という長い期間が必要になります。
【例2】2業種とも10年以上の経験があるが、期間の重複がある
この場合は2年間の重複があるため、2業種とも申請をすることはできず、いずれかの業種しか申請することができません。
【例3】20年未満で取得できる例
業種Aを①学歴+実務経験で条件をクリアした場合は、2業種を申請するとしても20年はかからずに最短で15年で取得することが可能です。
【例3】以外にも2業種を同時取得する際の期間短縮の方法はありますが、条件が複雑なため当事務所までご連絡ください。
③国家資格等を持っている
一部資格取得後に実務経験が必要な資格もありますが、国家資格等を取得していれば実務経験なしに条件をクリアすることができます。基本各業種ごとに指定されている資格は異なります。二級建築士であれば、「建築一式工事業」、「大工工事業」、「屋根工事業」、「タイル・れんが・ブロック工事業」、「内装仕上工事業」の条件をクリアします。国家資格等を持っている場合は、基本実務経験は必要ありませんし、資格証だけで条件をクリアできるので証明が非常に簡単になります。
(2)まとめ
「専任の技術者がいること」の条件は、国家資格または実務経験の年数でクリアする必要があります。実務経験を証明するためには、年に1つ以上の工事に関して工事請負契約書や現場写真等の提出が必要になります。「A様邸リフォーム工事」と工事名がなっている場合は、この工事が「大工工事業」または「内装仕上工事業」のどちらかが行政が判断できないため、具体的に工事業を証明するために写真の提出等が必要になってきます。
このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。