建設業許可に関する記事一覧
1_建設業許可とはいったいどのようなものか
2-1_建設業許可の条件がいったいどのようなものか
2-2_「経営業務の管理責任者がいること」について
2_3「専任の技術者がいること」について
3_申請に係る書類と時間、費用について
4_準備する資料等について
5_申請書作成で不明点が発生した場合や申請書提出の流れについて
7_無事許可がおりた後に必要な手続きについて
前回の記事で、申請に係る書類と時間、費用について説明しました。その中で申請書類の80~120枚のうち、会社の定款や市町村役場で取得するものが多いため、実際に新たに作成する書類は40枚程度と説明しました。会社の定款や市町村役場で取得するものとはいったんどんなものになるのでしょうか?準備する資料等についてわかりやすく説明していきます。
(1)準備する資料とは?
建設業許可を知事の許可でとる場合は、都道府県ごとに全然違うということはないのですが少しずつ条件が異なります。ここからは当事務所がある神奈川県を基準に説明していきます。また一般建設業、特定建設業や法人、個人でも条件が異なります。この記事は新規で建設業許可の取得を目指している方向けのため、法人で一般建設業を申請することに絞って説明します。
建設業許可の申請に関して、準備が必要な資料等は下記11種類のものになります。
①財務諸表(直前1期分)
②工事の経歴が分かるもの(少なくても直前3期分)
③定款
④登記事項証明書
⑤納税証明書(法人事業税)
⑥預金残高証明書
⑦健康保険等の加入状況の確認資料
⑧登記されていないことの証明書
⑨身分証明書
上記と「経営業務の管理責任者の証明書類」、「専任の技術者の証明書類」が必要になりますが、この2つは条件クリアのパターンが多いため必要書類が多種多様となるためここでは詳細を省きます。それでは①~➈についてくわしく説明していきます
①財務諸表(直前1期分)
建設業許可申請用の財務諸表と税理士が作成した財務諸表は中身が異なります。建設業許可申請用の財務諸表の方は、税理士が作成したものより細かい数字を算出する必要があります。つまり税理士が作成したAという数字は、建設業許可申請用のB+Cと一致するという感じになります。そのため申請書を行政に提出した際の確認用として直近の財務諸表は必要となります。なお直前1期分と記載したのは、建設業許可申請用の財務諸表の提出は直前1期分だけのためです。
②工事の経歴が分かるもの(少なくても直前3期分)
建設業許可申請用の書類の中には、申請する業種について直近1期分の金額の多い工事を10件記載しなければならない書類があります。また直近3期分の申請する業種とその他の業種に関しての工事金額を記載する書類もあります。そのため工事請負契約書や工事代金請求書の控え等が少なくとも直前3期分は必要となります。少なくてもと書いたのは、「経営業務の管理責任者」、「専任の技術者」の実務経験をクリアするために一定の年数の工事経歴のわかるものが必要になるかもしれないためです。
③定款
定款に関しては、控えを提出する必要があります。万が一紛失してしまった場合はこちらから詳細を確認してください。
④登記事項証明書
登記事項証明書は、申請日から計算して3ヶ月以内に発行された原本が必要となります。注意点はインターネットの「登記情報提供サービス」から印刷したものではダメだということです。法務局から直接取得するか、郵送で請求する必要があります。
⑤納税証明書(法人事業税)
県に許可を申請するので、法人であれば直近の法人事業税を県に収めている必要があります。なお個人の場合は、個人事業税になります。横浜市中区山下町の横浜県税事務所などの県税事務所で取得することができます。注意しなければいけない点は2点あります。
1点目は領収書では認められないことです。そのため県税事務所に直接行くか、県の電子申請システム「e-kanagawa電子申請」から請求する必要があります。
2点目は、未納ではない旨の証明書では不可ということです。神奈川県では納税証明書交付請求書が3種類あります。1つは「自動車税種別割用」なので明らかに違うと分かるのですが、残りの2種類は「一般用」「法人県民税・法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税用」となっており判断が難しいです。正しくは「法人県民税・法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税用」であり、上図の赤枠内の「法人事業税」にチェックを入れ、直近の事業年度を記載して請求してください。
⑥預貯金残高証明書
建設業許可を取るための条件である「一定の財産があること」を証明するための書類になります。
上図は神奈川県のHP上にある財務諸表の1つである貸借対照表のサンプルです。一般建設業の場合は、⑮の純資産の合計が500万円以上であれば、一定の財産があると見なされ預金残高証明書は不要になります。しかし500万円未満の場合は、主要取引金融機関発行の500万円以上の預貯金残高証明書を取得する必要があります。
ここでも注意点が1点あります。登記事項証明書など申請時に取寄せる必要がある書類は、申請日から計算して3ヶ月以内に発行された原本が必要となる場合が多いです。しかしこの預貯金残高証明書は、申請日から計算して1ヶ月以内に発行された原本が必要となります。登記事項などは変更される頻度は低いですが、お金は流動性が高いため期間が短くなっています。
⑦健康保険等の加入状況の確認資料
健康保険および厚生年金保険双方とも年金事務所で加入の場合は、直近の「保険料納入告知額・領収済額通知書」(口座振替の場合)、「納入告知書(納付書)・領収証書」(振込の場合)が必要となります。雇用保険に関しては、労働保険事務組合に申告を委託している場合は、事務組合発行の「労働(雇用)保険料等納入通知書」 の写しと上記納入通知書の金額と対応した領収書の写しが必要となります。社会保険労務士と契約している場合は、社会保険労務士に相談してみてください。
⑧登記されていないことの証明書 ⑨身分証明書
この2つに関しては過去に記事を書いていますので、「登記されていないことの証明書」、「身分証明書」を確認してください。ここでの注意点は、「経営業務の管理責任者」、「専任の技術者」ではなく、法人の場合は役員全員と支店がある場合は支店長等も必要になるということです。役員の本籍地はバラバラになることが多いので、取得に時間がかかります。
(2)まとめ
準備する資料は多岐にわたります。前回の記事でおおよそ10~40時間程度を見込んでくださいと書きましたが、大げさではないということが分かっていただけたと思います。
もし専門家である行政書士に依頼した場合は、申請費9万円にプラスで10~20万円程度かかると言いました。上記必要な書類はほとんど行政書士が代理で取得可能なものとなっています。プラスの費用は、書類作成だけでなく書類の取り寄せも含まれています。
このブログは「わかりやすく」をモットーとしています。厳密にいうと例外もありますが、例外を記載していくと分かりづらくなるため書いていません。詳細を確認したい方やご相談はこちらから当事務所までご連絡ください。