また家庭の財布に厳しいことが?雇用保険料の値上げについてわかりやすく説明していきます

今年のサンマは小ぶりなのに1匹250円。漁獲量が減っているからしょうがない。マクドナルドが値上げ。これは材料費があがっているからしょうがない。と様々な理由がありますが物価上昇が止まりません。そんな中、後期高齢者医療制度の改正で22年10月から高齢者の負担が増えますが、現役世代、子育て世代の負担も同じタイミングで増えます。雇用保険料が引き上げられるためです。それでは雇用保険料の値上げについてわかりやすく説明していきます。

(1)雇用保険とは?

雇用保険と聞くと、「仕事辞めて、次の就職先が決まるまでに失業手当がもらえるものでしょう」と多くの人が連想すると思います。間違ってはいませんが、一部足りていないことがあります。雇用保険は、失業や育児などで働けなくなった人や、スキルアップを目指している人が給付を受けられる保険です。下図のように雇用保険には様々な役割があります。

下記の3点に当てはまる場合は、雇用保険に加入することが義務づけられています。勤務先の業種や規模は問いません。なお正社員だけでなく、パートやアルバイトでもこの条件に当てはまれば雇用保険に加入しなければなりません。

 ・31日以上継続して雇用されるみこみであること
 ・週の所定労働時間が20時間以上であること
 ・学生ではないこと

雇用保険料は働く人だけが負担しているわけではありません。働く人と雇う側が折半して負担していますが、それぞれ値上げされます。つまり働く人の負担も上がるということです。なお雇う側の負担は22年4月にすでに上がっています。働く人の分はこの22年10月からになります。なぜ時期がずれたかといいますと、7月に参議院選挙があったからだと言われています。

(2)値上げはどのくらい?

会社に勤めている方は、雇う側が税金や保険料の計算をしてくれるので、どの程度税金や保険料を支払っているか意識したことがないという人も多いでしょう。それでは雇用保険料はどのくらい上がるのでしょう?

働く人の保険料は0.3%から0.5%にあがります。何に対しての割合かというと、手取額ではなく額面額になります。額面額とは所得税や住民税、厚生年金や健康保険、雇用保険といった各種保険料が引かれる前の額です。額面で20万円の方だと、今までの月600円の負担が1,000円の負担となり400円上がります。額面で30万円の方だと、今までの月900円の負担が1,500円の負担となり600円上がります。このほか、ボーナスがある人はそこからも保険料が引かれるので年間で1万円近くの負担増となるケースも出てきます。

上図の通り、雇用保険料の変更は珍しいことではありません。昭和63年から今までの間に、12回も変更されています。平成17年には1.95%だったため現在の雇用保険料はまだ低い水準になりますが、物価上昇が著しいこのタイミングでは家庭の財布に厳しいです。

値上げの原因は、新型コロナウイルスの影響により失業などで雇用保険を利用する人が急増することになったことと、雇用調整助成金の支出が増えたためといわれています。雇用調整助成金とは、雇う側が従業員を休ませたときの手当てを支払ったときなどに給付される助成金です。厚生労働省には発表によると、22年9月時点で6兆円を超える額の支給が決定されています。この助成金で助かったという会社も多かったと思いますが、不正受給の指摘が多いものでもあります。

(3)スキルアップにも使えるの?

雇用保険の中には教育訓練給付というものがあります。教育訓練受講(資格の予備校など)に支払った費用の一部が支給される制度です。転職・再就職にあたって、資格やスキルアップを目指している方には、非常に有益な制度です。支給額は、教育訓練施設に支払った費用の20%相当額(上限10万円)です。万が一資格試験に合格しなくても授業の参加率や認定試験(資格試験とは別)に合格すれば給付されます。

(4)まとめ

雇用保険料の値上げで額面で30万円の方だと、年間1万円近くの負担増になる可能性があります。しかし現状の保険料率は過去と比較すると高い水準ではないため、今後も値上げされる可能性もあります。

また雇用保険は失業時だけでなく、スキルアップを目指す方への給付もあります。未来の予測が難しい現代でスキルアップは必須です。制度をうまく活用してスキルアップを目指しましょう。

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